植民地期台湾の四国八十八ヶ所写し霊場に関する現地調査を行いました【2015年9月】
日本植民地期の台湾には、四国八十八ヶ所の写し霊場が存在しました。2015年9月21日〜9月26日に実施した現地調査では、1)現在の台北市内にあった「台北新四国八十八箇所霊場」と、2)現在の花蓮県・慶修院の写し霊場を踏査しました(担当・中川未来)。
なお本調査の報告論文は、愛媛大学法文学部附属四国遍路・世界の巡礼研究センター編『四国遍路と世界の巡礼』第1号、2016年に掲載していますので、併せてご参照ください(PDFへのリンクはこちら)。
1)「台北新四国八十八箇所霊場」
まず台北市南港にある中央研究院台湾史研究所・人文社会科学研究中心図書館にて、植民地期の行政文書である「台湾総督府公文類纂」の電子データ(現物は国史館台湾文献館所蔵)や植民地期の代表的な新聞『台湾日日新報』を閲覧し、仏教の台湾布教や、弘法寺の創建(1910年)に関わる行政史料・新聞記事を収集しました。
次いで、台北市中心部の台北天后宮(元新高野山弘法寺、台北新四国八十八箇所霊場1番札所)に残る弘法大師像や石像を見学し、更に札所にあたる旧臨済宗妙心寺派護国禅寺や台北市北部の山沿いや北投に散在する旧遍路道沿いの石仏群を調査しました。
2)花蓮県・慶修院の写し霊場
台湾東部の移民村である旧吉野村の中心部に残る慶修院(旧吉野村真言宗布教所)の写し霊場を調査しました。
更に同じく移民村である旧林田村・豊田村にも足を伸ばし、日本人移民の宗教活動に関する遺跡を巡検しました。また国立東華大学の台湾史研究室を訪問し、レクチャーを受けました。
【謝辞】レファレンス等に応じて下さった、中央研究院台湾史研究所檔案館を初め関係諸機関に御礼申し上げます。
また特に花蓮調査にあたっては、国立東華大学の呉翎君教授と潘継道副教授にご同道・解説いただいたのみならず、詳細な資料もご提供いただきました。繁務のなか複数日にわたり便宜を図っていただいた両老師に、改めて厚く御礼申し上げます。